月曜日, 6月 13, 2005

月光を浴びて


moonlight
Originally uploaded by mitsu_nakamori.

 写真は、月の明かりに怪しく光る天川村の天ノ川。

  初夏の心地よい夜には散歩がいい。月光を浴びてお気に入りの曲をi-podで聴きながら散歩する。選ぶ曲は、月といえばオオカミ。で、子供の頃FENでよ く聴いたWolfman Jackが選曲しそうな曲たちだ。例えば、ストーンズとか聴きながら吠えるのがよい...。最近、 月齢を 必ずチェックする。今月の満月は何日とか?常に気にかけている。例えばこんな想像もする。満月の夜には世界各地から集まったトラベラー達が世界のどこかの 気持ちのよい秘密の場所に集結し、この月が照らすほのかな明かりのもとでレイヴで踊り明しているはずだ。そんな思いに耽って満月を眺めていると、まるで自 分がその秘密の場所に今すぐ飛んでいけそうな気もする。一方、福知山線の脱線事故もほぼ満月の日だったように記憶している。

 前にも書いた ように大宇陀の禅寺で深夜まで続いたライブを観た後、最寄の近鉄榛原駅まで1時間もかかる農村の寂れた夜道をテクテクと歩いた夜も偶然満月だった。歩道の 街路灯もなく、月光を頼り歩いていると、普段は使っていない何か原始的で動物的な感覚がよみがえり、実に神秘的であった。

 月にこだわり始 めたのは、京都の鞍馬山を訪れて知った魔王尊サナト・クマラ伝説やウエクサ祭からだ。ウエサク祭(五月満月祭)とは、釈迦の降誕、悟りを開いた日、入滅の 日が、全てヴァイシ ャーカ月(インド歴第二月)の満月の夜であったという伝承により、アジア各地で行われる祭り。太陽暦では四月から五月の満月にあたる。 鞍馬にはこの魔王尊サナト・クマラが祀られている。鞍馬山の頂上付近にはサナト・クマラが金星から地球に降り立ったとされる場所もある。地球の地底深くに あると伝えられているジャンバラヤを支配しているのがサナト・クマラであり、彼の世界への入口が地球上には唯一ヒマラヤと南米と京都の鞍馬にあるとのこ と。このような伝説を語り始めると、きりがないからやめよう。ただ、僕にとっては、鞍馬という地は、天理、天河、熊野という聖地が地図上では一直線上で繋 がっている地理的な位置関係に興味がある。


はらいそ
Originally uploaded by mitsu_nakamori.

  月の光とジャンバラヤというキーワードで思い出すのが、最近、CDで再発された30年も前のハーリーこと細野さんのエキゾ・シリーズ最終章、そう、知る 人ぞ知る名盤「はらいそ」のB面に並んだ曲たち。“ジャンバラ通信”、“ウォーリ・ビーズ”など深い意味をもつタイトルの曲が並んでいる。このレコードも 中学か高校のとき物凄く影響を受けた1枚だった。 このアルバムが僕に与えた衝撃は計り知れない。エキゾチックミュージックの創始者のマーティン・デニー やアーサー・ライマンの存在を知ったし、ニューオリンズのGumboマスターことDr.Johnのセカンド・リズムを踏襲した“フジヤマ・ママ”というカ バー曲は、戦後、ハワイの日系人コミュニティの流行歌であったり、そして、沖縄民謡さえも細野ワールドで消化したすばらしいアルバム。日本をあらゆる角度 から外から傍観し、西洋東洋とも混血化し、かつ、ハリウッド映画に出てくる“まがい物的”な音のマンダラ世界を展開するハリー細野は音の錬金術師のごと きである。曲の面白さもさることながら、歌詞が最高に冴えている。例えば“ウォーリ・ビーズ”はこんな感じ..

 ♪逝こう帰ろうよ、月の砂漠へ

 ♪胸に植えろよ月の種を

 ♪百と八つの悩みの種、ひとつふたつ数えるたびに

 ♪ほら、体が軽くて どこでも行ける 思えば 今すぐ

 ♪Om Mani Chandraya/Santi Chandra(オーム、摩尼宝珠なる月よ、静寂なれ、月よ)

 ♪ほら、皆、解きほぐされ どこでも行ける 思えば 今すぐ

  潮が静かに満ち高まってくるような、レゲエ調のコズミックなリズムに浸された魂が舞い上がり、あくがれ出て、煩悩のしこりが解きほぐされて浄化の プロセスを辿っていく。そして魂はあらたによみがえる。ハリー細野は、このような「楽園(はらいそ)」に向かう音楽をつくりつづけている。う~ん、さす が師匠、当時からぶっ飛んでる。それにしても、たしかに現代人、特に都会の人は月明かりを全く気にしなくなった。

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