木曜日, 5月 19, 2005

元禄時代のトラベラー、芭蕉が教えてくれたこと


painted-amanogawa
Originally uploaded by mitsu_nakamori.

芭蕉の「不易流行」という思想が好きだ。
変 わらぬものと常に変わりゆくものが絶妙なバランスで対置している関係。つまり、「変わらぬもの」と「常に変わりゆくもの」そして、そのバランスを保つ中間 をなす目に見えない存在の三位一体が均衡していることこそ東洋の美である数奇(奇数)を表す宇宙観なのである。日本人の美意識は、動と静、過去と未来、かっこよ さとダサさと言った対極と、それに加えて、目には見えないものを心で感じ、そのバランス感覚こそが「侘び寂び」として重要なものと捉えてきたことではなか ろうか。
 芭蕉はこんな言葉を残している。
『不易も流行も、元をだどれば、ひとつのものである。不易ということを知らねば、基本を抑えた句を詠むことがはできず、流行ということを知らねば、詠んだ句の風体(姿)というものが、新しく見えることはない。』

 いやいや、この言葉だけでは不充分だ。芭蕉の説く不易流行とは、つぎの句の境地ではなかろうか。
 
 ○閑かさや岩にしみいる蝉の声

  蝉とは、儚き命の象徴であり、また、岩は墓石を指す。静けさは、あくまでも芭蕉個人の主観のなかで、蝉の音がとぎれて何も聞こえなくなった心境を「閑か」 と表現したものであろう。 不易と流行が岩の中でとけ込んで、一体となることを凍るような思いで悟った心境がこの句であるという。

  人間の魂の記憶やメッセージが鉱物という媒体に刻印され、永遠に後世へメッセージを残していくという考え方がある。神社のイワクラは縄文時代以前の太古の 人々が巨石に神が宿り、信仰のシンボルとした。この信仰は、世界各地にストーンサークルがあることから世界共通のものである。

  そう言えば、先日、世界的規模のストーンサークルが存在する足摺岬の唐人駄場に行ったが、巨石あるいはその磁場から発せられる「気」により魂が鎮 められた体験をしたことを思い出した。パワーストーンから発する古代人のメッセージをチャネリングするクリスタル・ヒーリングも同様だ。
 
 ところで、俳句が時間という二次元を超えてその人の心境を5・7・5という言葉の水晶体に凝縮し永遠に伝えていけると云う可能性。また、足し算ではなく引き算というミニマルの美しさに西洋にはない日本の美意識。
 唐突ではあるが、このような不易流行やミニマルの視点で日本のファッション界で唯一展開している『ユニクロ』の今後の動向に注目し応援したい。

 

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